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上司の視線が気になった瞬間

デスクに座ってパソコンに向かう若い社員の背中を、少し離れた場所から腕を組んだ上司が静かに見つめている日中のオフィスのアニメ風イラスト。

AI生成によるイメージ画像

入社してしばらく経った頃、仕事にも少しずつ慣れてきたような気がしていました。

電話の取り方も、最初ほど緊張しなくなってきて、簡単な資料作りもなんとか一人でできるようになってきた。
まだ分からないことは多いけれど、「とりあえず動ける」くらいの状態にはなってきていたと思います。

ただ、その頃から少し気になり始めたことがありました。

上司の視線です。

もちろん、ずっと見られているわけではありません。
でも、ふとした瞬間に、「今、見られていたかも」と感じることが何度かありました。

最初にそれを強く意識したのは、電話営業をしているときでした。

リストを見ながら、次の番号に電話をかけようとしていたとき、なんとなく背中に視線を感じたんです。

気のせいかなと思いながら、少しだけ顔を上げてみると、少し離れた席から上司がこちらの方を見ていました。

目が合ったわけではないんですが、こちらの様子を見ているような気がしました。

その瞬間、少しだけ手が止まりました。

ちゃんとできてるかな。
変な話し方になってないかな。

そんなことが、一気に頭に浮かんできました。

電話をかけるときの声も、少し固くなってしまった気がします。

ただ、そのあと上司が何かを言ってくるわけではありませんでした。
すぐに自分のパソコンに向き直って、仕事を続けていました。

それでも、一度意識してしまうと、なんとなく気になってしまいます。

次の電話をかける前にも、少しだけ周りを見てしまう。
上司がこちらを見ていないか、無意識に確認してしまう自分がいました。

別の日も、同じようなことがありました。

資料を作っているとき、ふと顔を上げたら、上司がこちらの方を見ているように感じました。
その視線が、自分の手元を見ているのか、ただぼんやり前を見ているだけなのか、よく分かりませんでした。

でも、「見られているかもしれない」と思った瞬間、急に姿勢がよくなった気がします。

背筋を伸ばして、キーボードを打つ手も少しだけ丁寧になる。
そんな自分がいました。

特に怒られたわけでもないし、何か注意されたわけでもありません。

それでも、上司の存在を近くに感じると、少し緊張する。

そんな感覚でした。

自分でも、少し意識しすぎているのかな、と思うこともありました。

上司は、誰かをずっと見ているようなタイプではありません。
基本的には、自分の仕事に集中していることが多い人です。

ただ、フロア全体をふと見渡す瞬間があって、そのときにたまたま目が合いそうになるだけなのかもしれません。

それでも、新人の自分にとっては、その視線が少しだけ重く感じました。

「ちゃんと仕事してるかな」と思われていないか。
「動きが遅いと思われてないかな」

そんなことを、勝手に考えてしまうんです。

周りの先輩たちは、あまり気にしていないように見えました。

上司の近くでも、普通に仕事をしているし、必要があれば自分から話しかけに行っている。
自然な距離感があるように感じました。

でも、自分はまだそこまで慣れていませんでした。

上司の席の近くを通るときは、少しだけ緊張する。
話しかけるときも、「今大丈夫かな」と一度考えてしまう。

そんな状態でした。

帰り道、その日のことを思い出していました。

ただ視線を感じただけなのに、ずいぶん気にしてしまったな、と自分でも少しおかしく思いました。

でも、まだ慣れていない環境の中で、ちゃんとやらなきゃ、という気持ちが強かったんだと思います。

上司の視線が気になった瞬間は、特別な出来事ではありませんでした。
ただ、その小さな緊張感が、「自分は今、仕事をしているんだ」という実感を少しずつ強くしていった気がします。

それが良いことなのかどうかは、まだ分かりませんでした。

ただ、あの頃は、少しの視線にも敏感になっていたのは確かでした。

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この記事を書いた人

27歳の広告営業。
新規・既存営業を担当。
日々の仕事で感じたことを記録しています。

※プロフィール写真はイメージ画像です。

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