
AI生成によるイメージ画像
最初の頃は、とにかく緊張していて、周りのことを見る余裕もありませんでした。
自分のことで精一杯で、会社全体がどんな雰囲気なのかなんて、あまり気にすることもなかったと思います。
でも、ある日ふとした瞬間に、ひとつ気づいたことがありました。
「あれ、あんまり会話がないな」
それが最初の印象でした。
その日は特別な日ではなくて、いつも通りの平日でした。
朝礼が終わって、みんながそれぞれの席に戻り、パソコンに向かって仕事を始める。
いつもの光景です。
自分も先輩に頼まれた資料を作りながら、時々周りを見ていました。
そのとき、なんとなく気づいたんです。
オフィスの中が、思っていたよりも静かだということに。
キーボードの音や、マウスを動かす音、電話が鳴る音。
そういう「仕事の音」はあるんですが、人の会話があまり聞こえてきませんでした。
もちろん、まったく話していないわけではありません。
電話対応はありますし、必要なやり取りはちゃんとしています。
「これお願いします」とか、「確認してもらえますか」とか、そういう短い会話はあります。
でも、それ以外の雑談のようなものは、ほとんど聞こえてきませんでした。
以前、アルバイトをしていた職場では、もう少し会話が多かった気がします。
ちょっとした空き時間に、「昨日の試合見た?」とか、「この近くに新しい店できたらしいよ」とか、そういう軽い話が自然と聞こえてきていました。
でも、この会社ではそういう声があまりしませんでした。
みんな、ずっとパソコンの画面に向かっていて、必要なことだけを話して、またすぐ仕事に戻る。
そんな感じでした。
最初は、それが普通だと思っていました。
社会人になったら、仕事中は黙々と働くものなんだろうな、と。
でも、ふとしたときに、「こんなに静かなものなのかな」と思ったんです。
ある日の午後、電話も少なくて、少しだけ落ち着いた時間がありました。
その時間、フロア全体が本当に静かでした。
誰かが話している声もなくて、ただキーボードの音だけが響いている。
その静けさが、妙に印象に残りました。
隣の席の先輩も、ずっと画面を見たまま、ほとんど言葉を発していません。
反対側の席の人も同じように、集中して作業をしていました。
みんな真面目に仕事をしている。
それはよく分かります。
でも、その真面目さが少しだけ「静かすぎる」ようにも感じました。
お昼休みになると、何人かで外に食べに行ったり、休憩スペースで話をしている姿も見かけます。
そのときは、普通に笑い声も聞こえてきます。
だから、人間関係が悪いわけではないんだと思います。
ただ、仕事中は本当に会話が少ない。
それに気づいたのが、その頃でした。
自分はまだ新人で、誰かに話しかけるのも少し緊張していました。
用事があれば声をかけるけど、それ以外で話しかける勇気はあまりありませんでした。
周りも静かに仕事をしているので、余計に話しかけづらい空気があったのかもしれません。
「こんな感じなんだな」
最初はそう思って、特に気にしないようにしていました。
でも、時間が経つにつれて、その静けさに少しずつ慣れていく自分がいました。
それが良いのか悪いのかは、まだ分かりませんでした。
ただ、仕事をしている時間は、ずっと集中している感じがあって、少しだけ気が張っている状態が続いていました。
誰かに見られているわけではないのに、自然と姿勢が正しくなるような、そんな空気でした。
この会社は、必要以上に話さない。
それが当たり前の雰囲気なんだと、なんとなく感じ始めたのがこの頃でした。
静かな職場は、決して嫌いではありません。
むしろ、落ち着いて仕事ができるという意味では、いい環境なのかもしれません。
ただ、まだ慣れていない自分にとっては、その静けさが少しだけ緊張感のあるものに感じられました。
それが、この会社で働く中での、ひとつの特徴として印象に残っています。
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