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同じタイミングで入社して、同じように何も分からない状態からスタートして、同じ研修を受けて。
何かあれば「これどうやるんだっけ」と気軽に聞き合えるし、ちょっとした雑談をするだけでも、少し気が楽になる。
会社の中で、唯一同じ目線で話せる相手でした。
最初の頃は、昼休みに一緒にご飯を食べに行ったり、帰りの時間が重なれば駅まで一緒に歩いたりもしていました。
お互いに緊張しているのが分かるからこそ、変に気を使わなくていい関係だったと思います。
でも、入社して一ヶ月くらい経った頃から、少しずつ同期の様子が変わってきた気がしました。
きっかけは、本当に小さな違和感でした。
ある日の昼休み、いつも通り何人かでご飯を食べに行ったときのことです。
最初の頃は、学生時代の話とか、配属先の話とか、どうでもいいことで笑ったりしていたのに、その日は会話があまり続きませんでした。
「仕事どう?」と誰かが聞くと、「まあまあかな」と短く返ってくる。
それ以上はあまり話が広がらない。
静かすぎるわけではないけど、どこか全体的に元気がないような感じがしました。
そのときは、ただ疲れているだけかな、くらいに思っていました。
営業の仕事は覚えることも多いし、慣れない環境で気を張っている時間も長い。
きっとみんな余裕がないんだろうな、と。
ただ、別の日にも似たようなことがありました。
帰りの時間がたまたま一緒になった同期と、駅まで歩きながら少し話をしました。
「最近どう?」と聞くと、「うーん…まあ、なんとかやってるかな」と、少し間を置いてから答えました。
その表情が、なんとなく疲れて見えたのを覚えています。
特別に大きな失敗をしたとか、怒られたとか、そういう話をされたわけではありません。
でも、言葉の端々に少しだけ余裕のなさを感じました。
「思ってたより、やること多いね」
そう言って、少し苦笑いしていました。
自分も同じように感じていたので、「分かる」としか言えなかったんですが、そのとき初めて、みんなそれぞれにしんどさを感じ始めているんだな、と思いました。
新人のうちは、まだ大きなノルマがあるわけではありませんでした。
それでも、電話対応や資料作り、先輩の同行、覚えることはどんどん増えていきます。
小さなミスでも、「すみません」と何度も言ってしまうし、
自分が足を引っ張っているんじゃないか、と考えることも増えてきます。
たぶん、同期のみんなも同じだったんだと思います。
ある日、社内で偶然、同期の一人が上司に何かを説明している場面を見かけました。
声は聞こえなかったんですが、資料を見せながら、何度も言葉を選んでいる様子が伝わってきました。
上司は静かに話を聞いていて、途中で何かを指摘しているようでした。
そのやり取りが終わって、同期が席に戻ってきたときの表情が、少しだけ沈んで見えました。
怒られたわけではなさそうでした。
でも、気持ちが少し落ち込んでいるのは何となく分かりました。
そのとき、「ああ、みんなそれぞれに頑張ってるんだな」と思いました。
表には出さないけど、うまくいかないこともあるし、慣れないことも多い。
その積み重ねで、少しずつ疲れが出てくる時期だったのかもしれません。
自分自身も、同じような気持ちになることが増えていました。
仕事が終わって家に帰ると、なんとなくぐったりしていて、特に何もしていないのに疲れている感じがする。
次の日のことを考えると、少し気が重くなる。
でも、それを誰かに強く言うほどでもない。
そんな微妙な状態でした。
同期の表情が暗く見えた理由は、たぶんそういうところにあったんだと思います。
誰かがすごく厳しくされているわけでもないし、特別に大きな問題があるわけでもない。
ただ、慣れない仕事に少しずつ体力も気力も使っていて、余裕がなくなってきていた。
それが、表情に出ていたのかもしれません。
それでも、昼休みに少し笑い合ったり、「今日は疲れたね」と軽く話したりするだけで、少し気持ちが軽くなる瞬間もありました。
同期がいることで、なんとか踏ん張れていた部分もあったと思います。
まだこの頃は、「大変だけど、これが社会人なんだろうな」と思いながら、毎日をこなしていくことで精一杯でした。
ただ、ふとした瞬間に見える同期の疲れた表情が、これから先の働き方を少しだけ想像させるようになってきたのも、この頃からだった気がします。
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