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上司の第一印象が少し怖かった話

明るいオフィスの中で、腕を組んだ年配の上司と向き合い、少し緊張した表情を見せる若い社員のアニメ風イラスト。

AI生成によるイメージ画像

入社してから最初の数日間は、とにかく周りを見る余裕がありませんでした。

仕事の流れを覚えること、電話の取り方、社内のルール。
何をするにも初めてのことばかりで、毎日があっという間に過ぎていった気がします。

そんな中で、少しずつ気になるようになったのが、自分の直属の上司の存在でした。

最初に紹介されたときのことは、今でもなんとなく覚えています。

朝礼のあと、先輩に呼ばれてデスクの近くまで行くと、「この人が今度から指導担当になるから」と言われて、軽く挨拶をしました。

「よろしくお願いします」

そう言って頭を下げると、上司は軽くうなずいて、「よろしく」と一言だけ返してくれました。

それだけなんですが、そのときの第一印象が、少しだけ怖かったんです。

別に怒っているわけでもないし、冷たい言い方をされたわけでもありません。
ただ、表情があまり変わらなくて、声のトーンも低めで、どこか近寄りがたい雰囲気がありました。

年齢は30代後半くらいで、スーツもきっちり着こなしていて、いかにも営業ができそうな人、という感じでした。

デスクに戻る途中、先輩が小さな声で「最初はちょっと話しかけづらいかもね」と笑いながら言ったのを覚えています。

そのときは、そういうものなのかな、くらいに思っていました。

実際、上司が新人の自分に対して厳しく接してくることはありませんでした。

分からないことを聞けば、ちゃんと答えてくれるし、資料の見方も丁寧に教えてくれました。
ただ、必要以上に話すタイプではない、という印象でした。

無駄な雑談はほとんどしないし、常にパソコンの画面を見ながら仕事をしている。
声をかけるタイミングを少し迷うような、そんな空気がありました。

ある日、簡単な資料作りを任されたことがありました。

「これ、明日までにまとめておいて」

そう言われて、データを整理して、見よう見まねで資料を作ってみました。

正直、これでいいのかどうか自信はなかったんですが、とりあえず形にはなったので、翌日の朝に「できました」と声をかけてみました。

上司は自分の席で資料を受け取って、黙って中身を確認し始めました。

数分間、何も言わずにページをめくる音だけが聞こえてきます。

その時間が、妙に長く感じました。

何かまずいところがあったのかな、と少し不安になってきて、自然と背筋が伸びてしまいます。

しばらくして、上司が一言だけ言いました。

「ここ、もう少し分かりやすくできる?」

怒っているわけではないし、声を荒げているわけでもありません。
でも、その言い方がすごく冷静で、逆に少し緊張しました。

「すみません、直します」

そう言って資料を受け取って、自分の席に戻りました。

席に戻ってから、「今の言い方、怖かったな」と思ってしまったんです。

たぶん、普通のやり取りなんだと思います。
どこの会社でもあるような、ごく当たり前の会話です。

それでも、新人だった自分には、その一言が妙に重く感じました。

それからしばらくの間、上司に話しかけるときは少しだけ緊張するようになりました。

忙しそうにしているときは、声をかけるタイミングを考えてしまったり、
「今聞いていいのかな」と一度立ち止まってしまったり。

ただ、不思議なことに、理不尽に怒られたことは一度もありませんでした。

むしろ、質問するとちゃんと答えてくれるし、間違ったときも、静かに指摘してくれるだけでした。

「ここはこうした方がいいかもね」
「この順番の方が分かりやすいよ」

そうやって、淡々と教えてくれる感じでした。

たぶん、自分が勝手に「怖い」と感じていただけなんだと思います。

声が大きいわけでもないし、怒鳴るタイプでもない。
ただ、無駄がなくて、真面目で、仕事に集中している雰囲気が強い人でした。

その空気に、少し圧を感じていたのかもしれません。

周りの先輩たちも、上司と話すときはどこか短い言葉で会話をしていて、長く雑談するような感じではありませんでした。

でも、仕事の話になると、しっかりやり取りをしていて、信頼されているんだろうな、というのも何となく伝わってきました。

入社して間もない頃の自分にとっては、その距離感が少し難しく感じました。

もっと気軽に話せる上司を想像していたのかもしれません。
でも現実は、少しだけ近寄りがたい雰囲気のある人で、「しっかりしなきゃ」と思わせる存在でした。

今思えば、そのとき感じた「怖さ」は、怒られる怖さというよりも、ちゃんとしないといけない、という緊張感に近かった気がします。

まだ仕事にも慣れていないし、迷惑をかけてしまうことも多い時期だったので、余計にそう感じていたのかもしれません。

それでも、上司のデスクの近くを通るたびに、少しだけ背筋が伸びるような感覚があったのを覚えています。

その緊張感が、この会社で働いている実感を少しずつ強くしていった気がします。

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この記事を書いた人

27歳の広告営業。
新規・既存営業を担当。
日々の仕事で感じたことを記録しています。

※プロフィール写真はイメージ画像です。

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