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初めて会社の空気を重いと感じた瞬間

初めて会社の空気を重いと感じたスーツ姿のイラスト風の男性

AI生成によるイメージ画像

入社してしばらくは、とにかく覚えることに必死でした。

電話の取り方、資料の場所、社内の人の名前、広告の仕組み。
毎日が新しいことばかりで、正直、会社の雰囲気を気にする余裕なんてなかったと思います。

「新人なんだから分からなくて当たり前だよ」

そう言ってもらえることも多くて、怒られるようなこともほとんどありませんでした。
忙しそうな人は多かったけど、特別怖いとか、働きづらいとか、そういう印象はまだありませんでした。

ただ、ある日の午後、初めて「なんだか空気が重いな」と感じた瞬間がありました。

その日は、特別なことがあったわけではありません。
いつも通り出社して、簡単な作業を手伝って、先輩の横で仕事を見ながらメモを取っていました。

午後になって、急に電話の音が増え始めました。
それまで静かだったオフィスが、少しだけ慌ただしくなった気がしました。

電話を取る先輩たちの声も、どこか短くて、必要なことだけを淡々と話している感じでした。

最初は気のせいかなと思ったんです。
でも、ふと周りを見渡すと、みんなの表情が少しだけ真剣になっていることに気づきました。

誰かが怒っているわけでもないし、大きな声が聞こえるわけでもない。
それなのに、なんとなく空気が張りつめている感じがありました。

隣の席の先輩も、さっきまで雑談していたのに、急に口数が少なくなって、パソコンの画面をじっと見つめています。
キーボードを打つ音だけが、やけに大きく感じました。

そのとき、少し離れた席で上司が誰かと話しているのが見えました。
声は聞こえなかったけど、真剣な表情で何かを確認している様子でした。

しばらくして、その上司がフロアをゆっくり見渡しました。

その瞬間、何とも言えない緊張感が広がった気がしました。

特に何かを言われたわけではありません。
でも、みんなが一斉に仕事に集中している感じが伝わってきて、自然とこちらも背筋が伸びました。

「何かあったんですか?」

小さな声で、隣の先輩に聞いてみました。

先輩は画面から目を離さないまま、同じくらい小さな声で言いました。

「月末だからね」

それだけでした。

その一言で、何となく察しました。

売上とか、数字とか、そういう話なんだろうな、と。

営業の仕事だから、数字が大事なのは分かっていました。
むしろ、結果で評価される世界だというのも、覚悟して入ったつもりでした。

でも、そのとき初めて、数字が近づいてくると会社の空気が変わるんだ、ということを体感した気がしました。

誰かが怒鳴っているわけでもない。
誰かが叱られているわけでもない。

それなのに、オフィス全体が少しだけ静かになって、みんなが画面に向かって黙々と仕事をしている。
その空気が、なんとなく重く感じました。

怖い、というほどではありません。
ただ、少しだけ息がしづらいような感覚がありました。

新人の自分には直接関係ないはずなのに、「ちゃんとしなきゃいけないな」と、妙に焦る気持ちが出てきたのを覚えています。

その日の帰り道、ふとその空気のことを思い出しました。

入社初日は、ただ静かだな、くらいにしか思っていなかったオフィスの雰囲気が、少し違って見えた気がしました。

普段は普通なのに、数字が近づくと少しだけ空気が変わる。
それがこの会社の当たり前なんだと、なんとなく理解し始めた瞬間でした。

まだその頃は、自分がその空気の中で働く実感も、そこまでありませんでした。
ただ、「営業の仕事って、こういう感じなんだな」と、ぼんやり思ったのを覚えています。

それが、会社の空気を初めて重く感じた瞬間でした。

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この記事を書いた人

27歳の広告営業。
新規・既存営業を担当。
日々の仕事で感じたことを記録しています。

※プロフィール写真はイメージ画像です。

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