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先輩の電話の声が大きくなる日

日中のオフィスで、30代の女性の先輩が強い口調で電話をして声が大きくなっている横で、若い社員が机に座りながら少し気にするような表情を見せているアニメ風イラスト。

AI生成によるイメージ画像

営業の仕事をしていると、社内の空気が少し変わる瞬間に気づくことがあります。

その中でも、分かりやすい変化のひとつが、先輩の電話の声でした。

普段の社内は、比較的静かです。

それぞれが自分の席で電話をかけたり、資料を作ったりしていて、
話し声は聞こえるけれど、全体としては落ち着いた空気が流れている。

電話も、みんな一定のトーンで話しています。

丁寧に、落ち着いて、必要なことをきちんと伝える。
それが当たり前の風景になっていました。

でも、ある日を境に、少しだけ違うと感じる日があるんです。

先輩の電話の声が、いつもより少し大きい。

怒っているわけではありません。
むしろ、言葉遣いはいつも通り丁寧です。

それでも、声の張り方が少し違う。
言葉のスピードが少しだけ速い。

そんな小さな変化に、だんだん気づくようになりました。

最初は気のせいかと思っていました。

たまたま大事な話をしているだけかな、くらいに感じていたんです。

でも、何度か同じような日があるうちに、
「今日はちょっと空気が違うな」と感じるようになりました。

電話をしている先輩の声が、あちこちから少し大きく聞こえてくる。

説明する時間が長かったり、言葉を重ねている様子があったり。
普段よりも、会話が途切れない感じがするんです。

自分も電話をかけながら、その声が耳に入ってきます。

「今月のご状況はいかがですか」
「少しでもお時間いただければ」

そんな言葉が、いつもより力がこもって聞こえる。

それを聞いていると、自然と背筋が伸びるような感覚がありました。

月の後半になると、特にその傾向が強くなる気がしました。

誰かが声を張り上げているわけではありません。
でも、全体的に電話の熱量が少し上がっているような感じがする。

席の周りを見渡すと、みんな真剣な表情で話しています。

メモを取りながら話す人。
資料を見ながら説明している人。
電話を切ったあと、すぐ次の番号を押す人。

その動きが、いつもより少し速く見えました。

ある日、隣の先輩が電話をしているとき、
いつもより少しだけ大きな声で話しているのが印象に残ったことがあります。

「はい、ありがとうございます。ぜひ一度お話だけでも」

その言葉に、どこか力が入っているのが伝わってきました。

電話を切ったあと、先輩はすぐに次の資料を確認して、また次の電話をかけ始める。

その流れが、とても自然で、でも少しだけ緊張感があるように見えました。

自分はまだ、そこまで状況を理解できていませんでした。

ただ、「今は少し大事な時期なのかもしれない」と、なんとなく感じる。

声の大きさだけで、空気が少し変わる。
それが不思議でもあり、印象にも残りました。

昼過ぎになると、さらに電話の数が増えていきます。

話す声が重なって、社内の音が少しだけ大きくなる。
でも、騒がしいわけではない。

みんな集中していて、それぞれが自分の電話に向き合っている。
その中で、声の張りが少しだけ際立って聞こえるんです。

自分もその空気の中で電話をかけていると、自然と声に力が入る気がしました。

周りのペースに引っ張られるように、
いつもよりはっきり話そうとしている自分がいる。

特別な指示があるわけではありません。
誰かに急かされるわけでもない。

でも、先輩たちの様子を見ていると、
「今はしっかり動く時間なんだな」と感じる瞬間がありました。

夕方になると、少しずつ声のトーンも落ち着いてきます。

電話の数が減って、またいつもの静かな空気に戻っていく。

その変化も、なんとなく分かるようになってきました。

一日を通して、声の大きさが少しだけ変わる。
それだけのことなのに、その日の空気が違って見える。

営業の仕事は、数字や結果だけじゃなくて、
こういう小さな変化の積み重ねなんだと感じ始めていました。

先輩の電話の声が少し大きくなる日。

その日は、社内の空気も少しだけ引き締まっている。

そんなことに気づくようになったのも、
この仕事に少しずつ慣れてきた証拠だったのかもしれません。

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この記事を書いた人

27歳の広告営業。
新規・既存営業を担当。
日々の仕事で感じたことを記録しています。

※プロフィール写真はイメージ画像です。

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