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テレアポを始めてから、毎日の中で少しずつ強く感じるようになったことがありました。
それは、「断られること」に対する戸惑いでした。
頭では分かっていました。
営業の仕事は、断られることが多い。むしろ、それが普通だと何度も聞いてきました。
先輩たちも当たり前のようにそう言っていたし、研修でも何度か耳にした言葉です。
「気にしなくていい」「数をこなせば慣れる」
そんなふうに言われていました。
でも、実際に自分が電話をかける側になってみると、想像していたよりもずっと頻繁に断られることに気づきました。
「今は必要ないです」
「忙しいので」
「結構です」
どれも強い言い方ではありません。
むしろ、丁寧に断ってくれる人がほとんどでした。
それでも、電話を切ったあと、少しだけ気持ちが静かになる瞬間があるんです。
別に怒られたわけじゃない。
嫌な言葉を言われたわけでもない。
冷たい対応をされたわけでもない。
それなのに、なんとなく胸のあたりが落ち着かない感覚が残る。
最初の頃は、一件一件の電話が終わるたびに、少し気持ちを整える時間が必要でした。
次の番号を押す前に、ほんの数秒だけ間を置く。
深呼吸をするほどではないけれど、気持ちを切り替えるための短い時間です。
その数秒がないと、次の電話に進めない気がしていました。
周りの先輩たちは、そんな様子はありません。
断られても、すぐに次の番号を押して、また普通に話し始める。
まるで何事もなかったかのように、淡々と次へ進んでいきます。
その切り替えの早さに、少し驚いていました。
ある日、何件か続けて電話をかけて、全部断られてしまったことがありました。
特別に冷たい言い方をされたわけではありません。
ただ、全部が短い会話で終わってしまった。
そのとき、少しだけ気持ちが静かになりました。
「こんなものなのかな」
そう思いながらも、まだ慣れていない自分がいました。
電話をかける前は、「今度こそ少し話が続くかも」と、どこかで期待してしまう。
だから、あっさり終わると、少しだけ肩の力が抜けるような感覚になるんです。
それが何度も続くと、少し不思議な気持ちになります。
うまくいっていないわけではない。
でも、特に何かが進んでいる感じもしない。
ただ、断られて、また次に進む。
その繰り返しの中で、少しずつ疲れが溜まっていくような感覚がありました。
昼休みに同期と話しているときも、自然とその話題になりました。
「電話って、こんなに断られるんだね」
誰かがそう言うと、みんな少し笑いながらうなずいていました。
「まだ慣れないよね」
「毎回ちょっと緊張する」
「切られると一瞬固まるよね」
そんな会話をしていると、自分だけじゃないんだと分かって少し安心しました。
断られること自体が怖いわけではありません。
でも、その積み重ねに、まだ気持ちが追いついていない感じでした。
先輩の中には、電話が終わったあとに軽く笑っている人もいました。
「またダメだったか」
そんなふうに、あっさり切り替えている様子です。
その姿を見て、「いつか自分もこうなるのかな」と思いました。
断られることが当たり前になって、気にならなくなる日が来るのかもしれない。
いちいち気持ちが動かなくなるのかもしれない。
でも、その頃の自分は、まだそこまで慣れていませんでした。
一本一本の電話に、少しずつ気持ちが動いてしまう。
短い会話でも、「今の言い方はどうだったかな」と振り返ってしまう。
もう少し話し方を変えたら、違った結果になったんじゃないか。
そんなことを考えてしまうこともありました。
営業の仕事は、特別な出来事がある日ばかりではありません。
むしろ、こういう何気ない積み重ねがほとんどなんだと思います。
断られて、またかけて、また断られて。
その繰り返しの中で、少しずつ慣れていく。
頭では分かっていても、気持ちが追いつくには少し時間が必要でした。
それでも、毎日同じように電話をかけていくうちに、少しだけ変化もありました。
最初の頃よりは、落ち着いて話せるようになってきた気がする。
断られても、前ほど長く引きずらなくなってきた。
ほんの小さな変化ですが、それでも少しずつ前に進んでいる感じがしました。
そんな日々を過ごしながら、
「これが営業の日常なんだな」と、少しずつ実感し始めていた頃の話です。
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