
AI生成によるイメージ画像
席に戻ると、無意識にため息が出てしまうことがあるんです。
大きく息を吐くわけではありません。
ほんの少し、肩の力が抜けるような、短い息です。
最初は、自分でも気づいていませんでした。
電話を終えて席に戻ったとき。
ちょっと席を立って、戻ってきたとき。
資料を取りに行って、またパソコンの前に座ったとき。
そのたびに、ふっと息を吐いていることがあったんです。
ある日、それに自分で気づきました。
「なんで今、ため息ついたんだろう」
特別に嫌なことがあったわけでもありません。
強く断られたわけでもないし、失敗したわけでもない。
ただ、席に戻って椅子に座った瞬間に、自然と息が出ていたんです。
電話を何本か続けたあとだったと思います。
話が長く続いたわけでもなく、淡々と終わった会話が続いただけ。
それでも、席に戻って体を預けた瞬間、少しだけ力が抜けました。
そのとき、初めて気づいたんです。
思っている以上に、毎回気を張っているのかもしれない、と。
電話をかける前は、自然と背筋が伸びている。
声のトーンを気にして、言葉を選んで、相手の反応を聞きながら話す。
短い時間でも、集中している時間が続いているんだと思います。
それが終わって、自分の席に戻る。
その瞬間に、緊張が少しだけほどける。
だから、ため息のような息が出てしまうのかもしれません。
周りを見ていると、似たような様子の人もいました。
電話を終えたあと、少しだけ椅子に寄りかかる先輩。
画面を見つめたまま、短く息を吐いている人。
大げさな動きではありません。
でも、同じような空気を感じることがありました。
それを見て、「みんなも同じなのかもしれない」と思いました。
営業の仕事は、ずっと体を動かしているわけではありません。
座って、電話をして、資料を見て、また電話をする。
見た目は静かな仕事に見えるかもしれません。
でも、その中でずっと気を張っている時間が続いている。
だから、席に戻ったときに、少しだけ力が抜けるんだと思います。
ある日、少し長めの電話を終えたあと、席に戻って深く息を吐いたことがありました。
その瞬間、「ちょっと疲れてるな」と自分で思いました。
まだ午前中だったのに、少しだけ体が重く感じたんです。
特別なことをしたわけではありません。
ただ、いつも通り電話をしていただけ。
それでも、少しずつ積み重なっているものがあるんだな、と感じました。
午後になっても、同じような感覚は続きます。
電話をして、席に戻る。
また電話をして、席に戻る。
その繰り返しの中で、何度も小さく息を吐いている自分がいました。
疲れているというほどではない。
でも、完全に力が抜けているわけでもない。
その中間のような感覚でした。
席に戻ると、自分の空間に戻ってきた感じがするんです。
パソコンの画面があって、いつもの景色があって、少し落ち着く。
その安心感の中で、ふっと息が出る。
それが、ため息の正体なのかもしれないと思いました。
周りの先輩たちは、ずっと忙しそうに動いています。
電話の本数も多いし、会話のテンポも早い。
その中で一日を過ごしているんだから、きっと自分よりもずっと疲れているはずです。
それでも、表にはあまり出さない。
ただ、席に戻ったときに一瞬だけ静かになる。
その姿を見て、「同じなんだな」と感じることがありました。
席に戻ると、少しだけ力が抜ける。
それは、疲れている証拠なのか、
それとも一つの区切りがついた安心感なのか。
自分でも、はっきりとは分かりません。
でも、その小さなため息が増えてきた頃、
「ああ、これが営業の日常なんだな」と、少しずつ実感するようになっていました。
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