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上司の足音で空気が変わる

日中のオフィスの中央を全身で歩く上司を中心に、その左右で社員たちが机に向かって作業をしながら緊張した様子で視線を向け、場の空気が引き締まる瞬間を描いたアニメ風イラスト。

AI生成によるイメージ画像

営業の仕事に少しずつ慣れてきた頃、社内の空気の変化に敏感になっている自分に気づくようになりました。

特に印象に残っているのが、上司の足音です。

最初の頃は、そんなことを気にしたこともありませんでした。
誰が歩いているのかなんて、意識する余裕もなかった。

目の前の仕事に必死で、電話をかけることや、言葉を間違えないことばかり考えていたからです。

でも、少しずつ周りを見る余裕が出てきてから、あることに気づきました。

フロアの奥の方から、コツコツと足音が聞こえてくると、なんとなく空気が変わる。

それが、自然と分かるようになってきたんです。

上司が歩いてくると、誰かが慌てるわけではありません。
声をかけられるわけでもないし、注意されるわけでもない。

それでも、席に座っている人たちの動きが、ほんの少しだけ変わる気がするんです。

電話をしている人の声が、少しだけはっきりする。
キーボードを打つ手が、少し速くなる。
姿勢が、少しだけまっすぐになる。

そんな小さな変化が、重なって見える瞬間がありました。

自分も、気づけば同じような反応をしていました。

足音が近づいてくると、なんとなく画面を見直す。
今やっている作業を、もう一度確認する。

特に指示されたわけではないのに、自然とそうしている。

ある日、上司が後ろを通ったとき、少しだけ緊張したことがありました。

何かを言われたわけではありません。
ただ、静かに歩いて通り過ぎていっただけ。

それなのに、背中が少しだけ固くなるような感覚がありました。

そのあと、ふっと力が抜けて、「なんでこんなに意識してるんだろう」と思ったんです。

周りを見てみると、みんな普段通り仕事をしているように見えます。

でも、どこか少しだけ空気が引き締まっている。

音がなくなるわけではないし、会話が止まるわけでもない。
ただ、全体の集中力が少し上がるような感じがするんです。

上司が席を離れて、また別の場所へ歩いていくと、その空気も少しずつ戻っていく。

その変化が、はっきり目に見えるわけではありません。
でも、なんとなく分かる。

そんな感覚がありました。

上司は、特別厳しい言葉をかける人ではありません。

怒鳴ることもないし、必要以上に指摘することもない。
むしろ、落ち着いた口調で話すことが多い人です。

それなのに、足音ひとつで空気が変わる。

それが少し不思議でもあり、印象にも残りました。

ある日の午後、電話をかけているとき、
上司が近くの席で誰かと話し始めたことがありました。

内容は聞き取れませんでしたが、静かに説明を聞いている様子でした。

そのとき、周りの空気が少しだけ張りつめた感じがしたんです。

誰も話を止めたりはしません。
でも、全体の音が少しだけ落ち着いたように感じました。

自分も電話をしながら、自然と声のトーンを意識していることに気づきました。

いつもより丁寧に話そうとしている。
言葉を間違えないように気をつけている。

それは、誰かに見られているから、というよりも、
その場の空気に影響されている感じでした。

上司が席に戻って、また歩いて離れていくと、
少しずつ元の空気に戻っていきます。

その繰り返しを何度か経験するうちに、
「ああ、これが職場のリズムなんだな」と思うようになりました。

言葉で説明されるわけではないけれど、
足音ひとつで、みんなの意識が少し変わる。

それだけ、この場所では上司の存在が大きいんだと感じました。

まだ自分は、直接話す機会もそこまで多くありません。

でも、近くを通るだけで少し背筋が伸びる。
それだけで、自分もこの環境の中にいるんだと実感する瞬間がありました。

営業の仕事は、電話や数字だけじゃなくて、
こういう目に見えない空気の中で動いている部分も大きい。

上司の足音で空気が変わる。

そんなことに気づいたのも、
この職場の日常に少しずつ馴染んできた証拠だったのかもしれません。

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この記事を書いた人

27歳の広告営業。
新規・既存営業を担当。
日々の仕事で感じたことを記録しています。

※プロフィール写真はイメージ画像です。

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