
AI生成によるイメージ画像
最初の頃は、とにかく分からないことだらけで、
一つ一つの作業をこなすだけで精一杯でした。
電話をかけること。
名前を間違えないこと。
話す順番を忘れないこと。
目の前のことに集中しているうちに、一日が終わっていく。
そんな感覚が続いていました。
でも、少しずつ仕事に慣れてくると、違う怖さが出てきました。
それが、「小さなミス」です。
たとえば、電話のメモを取り間違えること。
聞いた内容を、ほんの少しだけ勘違いして覚えてしまうこと。
資料の数字を、一桁だけ見落としてしまうこと。
どれも大きな問題になるわけではない。
すぐに修正できることばかりです。
それでも、その小さなズレが気になって仕方がない。
電話を切ったあと、
「今の内容、ちゃんと合ってたかな」と不安になる。
報告をしたあと、
「あの言い方で大丈夫だったかな」と思い返す。
一つ一つは本当に小さなことなのに、
頭の中に残り続ける感覚がありました。
ある日、営業先で名刺交換をしたあと、
会社に戻ってからふと思ったことがありました。
「あれ、会社名の言い方、間違えてなかったかな」
思い返せば、特に問題はなかったはずなのに、
少しだけ自信が持てない。
その瞬間、胸の奥が静かにざわつく。
小さなミスって、
誰にも気づかれないことも多いんだと思います。
だからこそ、自分だけが覚えている。
自分だけが気にしている。
それが少しだけ、怖く感じることがありました。
電話の履歴を見返して、
「この対応、抜けてないかな」と確認する。
メールを送ったあとも、
もう一度内容を読み返してしまう。
送信ボタンを押したあとに、
急に気になることが出てくることもありました。
大きな失敗は、周りもすぐに気づくし、
先輩がフォローしてくれることも多い。
でも、小さなミスは、
気づいたときには自分の中に残り続ける。
それが積み重なっていく感じがして、
少しだけ神経を使うようになっていきました。
先輩たちは、そんな様子をあまり見せません。
電話を終えたあとも、すぐ次に進む。
ミスがあっても、淡々と修正して、また動き出す。
その切り替えの早さが、少し不思議でした。
ある日、隣の先輩がぽつりと
「細かいところほど気になるよね」と言ったことがありました。
その一言を聞いて、少しだけ安心しました。
自分だけが神経質になっているわけじゃない。
みんな同じように、気をつけながら仕事をしている。
そう思えたからです。
営業の仕事は、人と話すことが多い分、
その場の言葉がそのまま形に残ることもあります。
だからこそ、
「言い間違えなかったかな」
「伝え方、大丈夫だったかな」
そんなふうに振り返ることが増えていきました。
小さなミスをしたくない。
その気持ちは、悪いことではないと思います。
むしろ、それだけ丁寧に向き合っている証拠なのかもしれない。
でも、気にしすぎてしまうと、
次の行動が少しだけ重くなる。
電話をかける前に、
「大丈夫かな」と一瞬立ち止まってしまう。
そんな瞬間が、時々ありました。
それでも、毎日同じように仕事を続けていくうちに、
少しずつ感覚が変わってきました。
ミスをしないように気をつけることと、
怖がりすぎないこと。
そのバランスを、少しずつ覚えていく感じでした。
完全になくなるわけではありません。
今でも、小さなミスは気になります。
でも、前ほど引きずらなくなってきた。
「次は気をつけよう」と思って、
また次の電話をかける。
その繰り返しの中で、
少しずつ前に進んでいる気がしました。
仕事での小さなミスが怖い。
それはきっと、
この仕事をちゃんとやりたいと思っているからなんだろうなと、
そんなふうに感じ始めていた頃の話です。
コメント